とある先輩の、歪んだ狂愛。




思わずサッと隠した。

それよりも……。



「嫌じゃ、ないんですか」


「嫌?なにが?」


「…いじめられっ子が食べてるものなんて」


「…くだらないこと言うね」



わたしのお弁当に躊躇いなく手を付けた人なんか初めてだ。


それ食べれるの?毒とか入ってない?
貧乏臭い、なんて。


クラスメイトは毎回そんな台詞を言っては嘲笑っていたというのに。



「せっかくのお弁当、こんなとこで食べても美味しくないでしょ」


「…こんなの慣れっこですから」



だって味は変わらない。

お母さんの作ってくれたものなら、なんだってどこでだって美味しいから。


それにしても今の空気が不思議でならない。

このひと、だれ?
どうしてわたしに声かけてくるの?



「じゃあ俺も今日からイジメていい?」


「……はい?」


「名前は?」



勝手に進めないでほしい。

本当に頭のおかしい人だ。


いじめていい?なんて、そんな堂々とした宣言きいたことがない。



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