とある先輩の、歪んだ狂愛。
そんなの出来ない。
だってここで「はい」って言ったら、「わかりました」って言ったら。
せっかく先輩とお祭り行ける約束をしたのに行けなくなってしまう。
ここで引き返さなくちゃいけなくなる。
「わたしは…確かにいじめられてますけど、先輩に迷惑はかけないつもりです」
「そうじゃない。そんなことはどうだっていい」
「…だったらなんですか、」
この人が結局なにを言いたいのか、サッパリ分からない。
いきなり現れて「関わるな」なんて。
いじめられっ子なわたしに言う台詞にしては妥当だとも思うけど、納得できない。
納得なんて、したくない。
「…重ねてんだよ、お前を」
「……え?」
「過去に付き合ってた女とお前を…周は重ねて見てる」
例えば、髪型が似てたとか。
顔が少しだけ似てるからとか。
性格が似てたり背丈が似てたり、好みが似ていたり。
そういうのって、きっとどこにでもありふれてるから。
だからそう言われても「そうだったんだ」としか今のわたしはならなくて。