とある先輩の、歪んだ狂愛。




「…だったら先輩は、物好きなんですね」



特別かわいいわけでもなく。

こんなにも無愛想な後輩に声をかけて、分け隔てなく話してくれて。


もちろん最低だって思うくらいに最低な扱いばかり受けるときもあるけど。



「そうだよあいつは物好きなんだよ。…クラス中からいじめられてるヤツに自分から絡みに行くほどなんだから」



あぁ、まただ…この感じ。

似ているようで、ちがう。

わたしをまったく違う人として、誰かに重ねて見ている目と会話。



「友達も居ないような、いつも1人でいるようないじめられっ子。
弁当をいつも隠れて食って、そんな自分に満足してるヤツ」



それは紛れもなくわたしのこと。

わたしのことの、はずなのに。




「───…自殺したんだよ、そいつは」




わたしじゃない。

それはわたしじゃなくて、きっとそれは。


彼が保健室で泣きそうな声で呼んでいた「あや」という人なんだろう。


あんなにも交わらなかった会話の答えがこんなところにあったらしい。



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