とある先輩の、歪んだ狂愛。
「…お祭りに限らなくても、誰かと一緒に見て…分かち合って、」
「うん」
「それだけが特別で……幸せなんだと、思います」
お金なんかかけなくても。
特別豪華なことをしなくても、誰かと肩を並べて同じ景色を見る。
ひとりじゃないんだって実感する。
きっと誰だってそれが本当の幸せだと思っているから、人は人を求める。
「───…あのときもそう言ってたのかな」
先輩の呟きは聞こえていないことにした。
じゃがバターの甘さ、ソースのしょっぱさ。
それを炭酸の入ったシュワッと弾けて消えるラムネで流し込む。
「…お前に会えてよかったよ」
そーいうの、駄目です。
先輩が一番それをわたしに言ってはいけない。
だってその言葉だって、わたしに向けられたものじゃないから。
「依存」だと言われてしまった。
わたし達の関係は友達でもなければ特別なものでもない。
そう言われたっておかしくない。
「これビー玉取れるよね、確か」
空っぽになったラムネの瓶。
蓋を器用に外して、カラカラと中に入っていた青いガラス玉を取り出した先輩。