とある先輩の、歪んだ狂愛。
「田口!すず……南もお前らのグループに混ぜてやってくれ」
「えぇ~、もう満員だってのー」
「ひとり増えたところで変わらねーっつの」
実技はバレーボール。
もちろん余り物のわたし、その空気感で顔に出さない大ちゃんは察してしまってるはず。
そんな彼に助けられて女子グループの1つに入れてもらえることとなった。
「うさみん!今度あたしとデートしようよ!」
「おー、100年後くらいにな」
「そんなの死んでるっての!!」
「うさみん」なんてあだ名を付けられた大ちゃんは、女子生徒からあっという間に人気の的。
確かにスポーツマンで爽やかで身長も高くて。
誰に対しても面白くて優しい人柄はすぐに好かれるタイプ。
今までの体育教師が中年男性だったからこその新鮮さで。
「あー、南。悪いがそのファイル、職員室に届けてくれるか」
女子生徒に絡まれるように戻って行きながら、ステージに乗った青色のファイルを指差した大ちゃん。
どうしてそんなのわたしに言うの。
…なんて、もう居ないし。