とある先輩の、歪んだ狂愛。




「あとあれ、電車。使う?」


「…たまに」


「使わなくていいから電車なんか。バスか徒歩にしろよ」



……急になんなの、この人。

過保護っていうか、それに命令口調だし……ちょっとうざい。


お父さんは小さい頃からいないけど、世間一般のそんな父親を持った娘の気持ちが少し分かるような。



「…バイトに少し乗っていくんです」


「てかあそこのコンビニ、パチンコ客しか来ないじゃん。変えたら?」


「また勝手なこと言いますね先輩」



確かに向かい側にすっごく綺麗な新しいコンビニが出来て、若い子はみんなそっちへ行くって佐々木さんも言っていた。


わたしが働くところは近くに寂れたパチンコがあって、その常連客が多い。

もちろんお酒やタバコを買っていくような柄の悪い人たち。



「駅前の雑貨屋とかあるじゃん、学校の近くにファーストフード店も多いしさ」


「…だからこそお店に迷惑がかかるんです」



あの店はいじめられっ子が働いてるからやめようぜー、なんて。

そんなのが広まってお客さんが減ってしまうだけ。



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