とある先輩の、歪んだ狂愛。
目の前の画面には、並んで座るわたしと先輩が映っている。
こんなことしたら余計に近々訪れる別れをイメージしてしまうから嫌だ。
それなのに画面に映った先輩の笑顔に見とれてしまいそうにもなって。
「ふっ、ははっ、なにこれ照れてんの?照れてるってことでいいんだよね?」
その画面にはぶすっとした顔で、この上なく唇を突き出しているわたしの姿。
首を傾げるようにもたれ掛かる先輩は、やっぱり写真映りも良い。
「まぁいっか、涼夏らしいし」
「…あとで送ってください」
「もちろん」
先輩が言う“わたしらしい”の意味は探りたくない。
それは彩に似ているってこと。
それがきっと先輩の「涼夏らしい」の、本当の意味。
「じゃあ今日はここまで!はい号令!」
ありがとうございました───と、クラスメイトの声が体育館に響く。
結局6限が過ぎても雨は止まなかった。
「更衣室で駄弁ってないでさっさと帰るんだぞ女子共!」
「は~~い!うさみんまた来週~!」
「おー、気をつけて帰れよー」