とある先輩の、歪んだ狂愛。




5、6限が体育の実技の日は必ずスクールバッグを更衣室に置いて、着替えてそのまま帰宅するというのが流れだった。

だからこそ体育館が解散場所。


こういうとき、ステージ裏でサッと着替えられる男子が羨ましい。



「ねぇ、ちょっといい?」



そんなとき、クラスカースト上層部に君臨する女子数人からのお呼ばれ。

まだ制服にすら着替えていないわたしは、やっと更衣室が使えると思ったのに。


でもここで断ったならば余計に痛い目を見ることを知っているから。



「ちょっと来てくれる?」



せめてもと、スクールバッグを手にして引っ張られるように続いた。


連れられた場所は静かな女子トイレ。


雨ということもあって部活動も無く、先生たちはとっくに職員室。

そんな放課後のトイレなんか誰も来ないことは確定。



「夏祭り、アマネ先輩と行ったって本当?」


「…行ってない」


「あんたって必ず一言目は誤魔化す。そんなの分かりきってんの」



駅で見られてたのは確かだ。

でもそれからは人も多くて暗くて、何より極秘スポットで2人きりだったはず。



< 165 / 242 >

この作品をシェア

pagetop