とある先輩の、歪んだ狂愛。
帰りだって別々で、わたしはよく覚えてないくらいで。
ただ今はもう思い出したくなかった。
先輩の啜り泣く姿も、ちがう女の子をわたしに重ねてたと認めた言葉も。
「あんたさぁ、さいきん調子乗ってない?勘違いしてんなよ冷淡ロボット」
「体育祭あたりからおかしいよね?名前で呼んでもらってたり、お昼休みも一緒に居るとかで」
「まさか付き合ってるんじゃないよね?」
それだけは絶対にない。
付き合うとか、わたし達は本当にそーいう関係じゃない。
だって友達すら拒否されてるのに…どうするっていうの。
「…わたしバイトあるから」
ダン───!!!
個室のドアを叩くように道が塞がれた。
こうなることは予想の範囲内で。
ここからどう脱出すればいいかが問題。
「せんぱぁ~い、お願いしま~~す!」
すっごく甘い声だった。
男子とよくつるんでいる人だなーとは思ってたけど、ぎゃはぎゃは下品に笑うタイプの子だと思ってたから。
まさかそんなにも甘い女の子の声が出せたんだ…なんて驚いているわたしの前に。