とある先輩の、歪んだ狂愛。




「おいこいつトイレットペーパーの芯なんか持ってんだけど。金にならねぇだろこんなもん」


「あとビー玉。小学生かよ」



お金になんかならない。

それは、お金なんかよりずっとずっと価値があるものだ。



「よちよち、これはお金にはなりまちぇんよー?」


「ぎゃははははっ!こんなことしてっからいじめられるんだよバーカ!」



無様だ、惨めだ。


なんて───…可哀想なんだ。


友達にすらなれなくて、わたし本人すら見てもらえなくて。

それでもわたしにとってはトイレットペーパーの芯だってビー玉だって、立派な思い出。


たとえガラクタでも、何よりも大切な宝物だ。



『守れ。』


『結局自分を守ってあげられるのなんか自分しか居ないんだよ』


『他人にどうにかしてもらおうなんて、おこがましいね』



本当に、おこがましい。

先輩の名前を呼びたいって思ってるわたしは、おこがましい。


───カッターナイフ。


もうそれしかない。

地面に転がったそれを必死に手繰り寄せる。



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