とある先輩の、歪んだ狂愛。




「はぁ…っ、はっ…、」



非常階段の先、重いドアを開けて。

暗ったるくて日の当たらない湿ったゴミ捨て場前の階段。



「っ、…なんで、」


「───…なに、…それ」



そこに座っている人は、振り返った瞳を大きく開いた。


どうしているの、もう放課後だよ。

今はお昼休みじゃない。



「…それ…いじめのレベル越えてるでしょ、」



ふるえる。

身体も、心臓も、ずっとずっと震えてる。


ジャージはビリビリ、髪だって軽くて、指を通せばパラパラと地面に落ちてゆく。

叩かれたところがじんじんと熱くて痛い。



「…なにが、あった?」



まさか先輩が居るなんて思ってなかった。


ここなら誰にも見つからない。

ここなら追いかけて来ないだろうって、ただがむしゃらに向かっただけ。



「美容院、行ってきました」


「…いい、髪型じゃん」


「はい。服屋さんにも行って、」


「うん、…センスあるよ」



ぎゅっと目を閉じる。



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