とある先輩の、歪んだ狂愛。
こんな姿を見ないでほしくて、情けなくて。
だって恥ずかしくて惨めだから。
「先…輩、」
「うん」
「…せん……ぱい、」
「…うん」
でも先輩の姿を目にするだけで、一気に安心感が出てしまう。
その声を聞くだけで余計に震えてしまう。
「レイプ、だよね、確実に」
「…チクッたら…殺すって、」
「そんなのどーだっていいでしょ。…上履きの色は?」
すっごく低い声。
いつも物腰柔らかで適当な先輩じゃないみたいだ。
もしかしてわたしのために怒ってくれてるのかなって……あぁ、馬鹿みたいな期待。
「……あお…」
その色が最初、ビー玉に見えたから。
雨のどんよりした空気の中。
職員室から一番遠いトイレの中。
キラキラ光るビー玉に見えて、先輩の顔が真っ先に浮かんだ。
「…どんなヤツ?見た目とか髪色とか、なんでもいいから───」
先輩はそこまで言って、ピタリと言葉を止めた。
「…そんなのあとでいいか」とつぶやいて。
「───…涼夏。」