とある先輩の、歪んだ狂愛。




見たいって…。

そんな好奇心で切っちゃって、結局似合わなかったらどうしてくれるんだろう。


それに髪をバッサリ切るってことは決意の現れでもある。


そう、よく聞くけど…。



「よし!切っちゃおっか!」


「え、待ってください、」


「はい動かないでー。刃物だから危ないわよー?」



ちょ、こんな強引なカットだなんて聞いてない。

確かにサービスだし無料だし文句は言えないとしても…。


ジャキジャキと落とされてゆくわたしの髪の毛たち。



「───お。」



容赦なく落とされて、シャンプーをされて、ドライヤーで乾かされて。

そして再び鏡に映った姿に一番最初に反応したのは先輩だった。



「いいじゃん。すっごくいい」


「でしょ?少し前下がり気味にして段も入れといたわ。中性的であたしは好き」


「俺も好き」



鏡に映るわたしは。

なんて言うか……男の子。

髪の短い女の子というよりは、少し女の子っぽい男の子だ。



「髪洗うのも今日からラクよ~」


「…ありがとう、ございました」


「いーえ」



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