とある先輩の、歪んだ狂愛。




でも今は少し首を傾けてくれただけで、バチっと重なってしまう視線。



「…写真、撮っていい?」



ほら、こういう質問だってわざわざするような人でもなかったのに。

UFOが居るとか嘘を言ってまでも勝手に撮っているような。


じゃあわたしが今、嫌だって言ったらそのとおりにしてくれるのかな。



「…いやです」


「いやだ、撮るね」



……結局こういうひと。

わかってた、素直に聞いてくれるわけがないって。



「だってもう…会えなくなっちゃうでしょ」



そんなこと、言わないで。

言わなければ考えなくて済むのに。


───カシャッ。


…ほら、また勝手に撮る。



「その泣き顔は好き」


「…ひどいです先輩」


「だって俺のこと考えて泣いてんだもん」



本当に、ひどい。
もう止まってなんかくれない。

先輩がそんなに意地悪なことばかり言うから。


ポロポロと伝って、ぎゅっと閉じても余計に溢れてしまう。



「俺がいなくても頑張れる?」


「…がんばり、ます」



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