とある先輩の、歪んだ狂愛。




逃げないって決めた。

先輩が居なくても、あの場所でお弁当を毎日食べるって。


そう、決めたから。



「先輩からのいじめが減るから…ちょっとはマシです」


「…涼夏らしいね」



やっぱりそれ……嫌だ。


その言葉を聞くと彩と重ねてるんだって思ってしまう。

仕方ないことだとしても、今日の先輩はわたしの名前をたくさん呼んでくれていたから。


もう少し、せめて転校するまではわたしのことを見ていてほしいなんて。



「…彩とは、違うよ涼夏は」



優しい手のひらがわたしの頬に触れて。

親指の腹で涙を拭ってくれる。



「彩は泣かなかった。泣いてなんかくれなかったんだよ」


「…泣き止みます、…すぐ、泣き止みますから、」


「違うって。俺、嬉しいんだよお前が泣いてくれて」



わたし、今ちょっといろいろ混乱してて。

先輩の言葉がまっすぐ脳に入ってくれないみたいだ。


わたしの泣き顔は嫌いって言ったり好きだって言ったり…。


全然わからない。



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