とある先輩の、歪んだ狂愛。

「…いいの？最後だから手加減しないかもよ？」


「はい」



最後なんて言わないで。

最後なんて、嫌だ。


本当は寂しくて寂しくてたまらない。



「いや、やめとく」



それすらも断られてしまった。

まさかそうなるなんて思っていなかったからこそ、言葉が出ない。



「だって今の涼夏、かわいいんだもん。そんな子噛めないでしょ」



居たたまれなくなって。

先輩の顔が見れなくなって、逸らすように背ければくいっと無理やり戻されてしまった。



「っ…！」



───ちゅっ。


唇に一瞬重なった、柔らかい感触。



「───…え…」



それが何かと分析しようとしているうちには離れてしまっていて。

何事も無かったかのような人が目の前にいる。



「……いま…の、」


「…尖ってたからしやすいなって」



私の面倒で厄介な癖は、そんな行動を引き起こしてしまったらしい。

確かに合わせられた行為はキスというもので。


私の、初めてのもので。



「…嫌だった？」