とある先輩の、歪んだ狂愛。
ふにっと溶けてしまいそうで壊れてしまいそうな、それなのに全部がどうでも良くなってしまうくらい。
「…っ、…んっ、」
どこが噛む、だ。
なにが砕く、だ。
そんなのぜんぜん想像も出来ないくらい、甘くて優しくて。
不慣れに応えるわたしを包み込んでくれる。
「涼夏、…お前なら大丈夫だよ」
「大丈夫じゃ…ない、です…っ」
「お前だけは、彩みたいになってほしくない。だから…俺を頼らず生きるんだ」
頼らないで、自分の力でやって。
俺はもう傍に居ないよ?
「涼夏は、大丈夫」
一見それは突き放した言葉なのに、先輩は「大丈夫」って一言で最後を締めくくる。
ちゅっと優しく齧られて、ぎこちなく応えて。
甘いキスの中でぎゅうっと閉じた目を開けば、何よりも優しく見つめてくれているから。
「この髪でいてよ、ずっと。いざとなったら男の子に紛れちゃえばいい」
「…そんなの、むりです」
「…はは、確かに。こんなに女の子の顔してるもんね」
先輩の潤んだ瞳の中には、涙目で微笑んでいる見たことない女の子がいた。
「…困るよ、そんな可愛い顔されたら」
*
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とある先輩の、歪んだ決意。