とある先輩の、歪んだ狂愛。
そう、涼夏はこーいう子。
彩と確かに似てるけど違うことはひとつ。
こいつは死なない。
自殺なんかしない。
ひとりだとしても立ち向かえる強さがある…までは断言できないけど。
それでも確実に死んだりしないって、それだけは思える。
「だってお前泣くじゃん」
「先輩、うざいです」
うわ、うざいって。
こいつ言い切ったよ。
俺はそんな子に育てた覚えはないよ?なんて、娘を持った父親の気持ちも分かるようになってしまった。
「そんなに言うなら…また会いに来てください。いつでも……ずっと、待ってますから」
それは約束と見せかけて約束ではない。
必ず来いとは言わず、俺の気まぐれで動いてくれていいと先回り。
なんて言うか…1枚うわてな言葉だから何も言えない。
「わたし、決めたんです」
「…なにを?」
「決めたんです」
うん、だから何を?
質問の答えが返って来ないところで、涼夏は俺の腕から逃れて立ち上がった。
そしてちょうどお昼休み終了しますよーのチャイムが校舎に響く。