とある先輩の、歪んだ狂愛。




なんか悔しい。

俺と離れること、もっともっと嫌だって泣いてくれればいいのに。

あのときそうしてくれただけで、次の日からケロッとしちゃってあり得ないでしょ。


……ほんと、なんなのこいつ。



「じゃもし俺がそれ見つけたら、涼夏は何かご褒美くれる?」


「……ご褒美はわたしが一番あげたら駄目です」



あぁ、可哀想な顔をさせちゃった。


俺って本当にひどいヤツ。

重ねてるって断言して、彩に見てる、彩だと思ったとか目の前ではっきり言ってさ。


それでこんなこと言ってんだから本当にサイコパスでしょ。



「涼夏、ねぇ涼夏」


「…なんですか」



だから俺はこうしてたくさん名前を呼ぶ。

たぶん俺にはこれしか出来ない。


もし、「涼夏のことが好きだよ」なんて言ったとしても。

それはこいつを傷つけるだけにしかならなくて。



「宇佐美に近寄られてもスルーしてよ?」


「…先生なんですけど」


「声かけられてもシカトね」


「授業中はどうしろって言うんですか」



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