とある先輩の、歪んだ狂愛。




だって「すず」とかさ、軽々しく呼んでてムカつくじゃん。

それにお前だって「大ちゃん」なんて馴れ馴れしく呼んで。


考えただけでイライラするんだけど。



「…先輩の名前、」


「ん?」


「最初、見たとき…“しゅう”って読むと思いました」


「…あぁ、よく間違えられる」



あまね、なんて親もよく思い付いたもんだよね。

教師だから漢字には強いのかな?なんて。



「…でも、“あまね”。わたしはこっちのほうがいいと思います」


『あまねくんの名前、格好よくて好きです』



ねぇ彩、もういいかな。

俺はお前の思い出をずっと背負って生きていこうと思ってたけど。


その続きはお前によく似てて、ぜんぜんちがう涼夏に託しちゃ駄目…?



「そこは格好いいって言ってくれないの?」


「…きっとそれは、彩が言ってると思うんで」


「俺は涼夏に言ってほしいんだけど」



これは、本心。

こいつからの言葉が聞きたい。



「…わたし、決めたって言ったじゃないですか」



その先の言葉を聞かされるのが怖くて。

俺は強引にも口付けて塞いだ───。



< 199 / 242 >

この作品をシェア

pagetop