とある先輩の、歪んだ狂愛。
だって「すず」とかさ、軽々しく呼んでてムカつくじゃん。
それにお前だって「大ちゃん」なんて馴れ馴れしく呼んで。
考えただけでイライラするんだけど。
「…先輩の名前、」
「ん?」
「最初、見たとき…“しゅう”って読むと思いました」
「…あぁ、よく間違えられる」
あまね、なんて親もよく思い付いたもんだよね。
教師だから漢字には強いのかな?なんて。
「…でも、“あまね”。わたしはこっちのほうがいいと思います」
『あまねくんの名前、格好よくて好きです』
ねぇ彩、もういいかな。
俺はお前の思い出をずっと背負って生きていこうと思ってたけど。
その続きはお前によく似てて、ぜんぜんちがう涼夏に託しちゃ駄目…?
「そこは格好いいって言ってくれないの?」
「…きっとそれは、彩が言ってると思うんで」
「俺は涼夏に言ってほしいんだけど」
これは、本心。
こいつからの言葉が聞きたい。
「…わたし、決めたって言ったじゃないですか」
その先の言葉を聞かされるのが怖くて。
俺は強引にも口付けて塞いだ───。