とある先輩の、歪んだ狂愛。




それなのに先輩と関われば関わる分だけ逆効果。

ほんと、変な人に目を付けられてしまった。



「泣く?」



そんなのしたら、この男の思う壺。



「あれ?泣かない?…おぉ睨む?」


「先輩みたいなひと、大嫌いです」


「…いいね、そういうの好きだよ」



歪んでる。

このひと、普通に危ない人だ。


どうしてあんなにも女子生徒が騒ぐのかも分からないし、ただ見た目が良いだけ。

こんなのただそれだけでしょ。



「いつもどんなことされてんの?」


「…別に教える必要ないんで」


「強気だねぇ。いつまでそんなふうにしてられるかな」



気づけば壁に追いやられていて。

非常階段、両手で囲うように逃げ場ナシ。



「なんですか」


「いま結構あぶない状況なの知ってる?」



あぶない…?


わたしから言わせてみれば、誰かと一緒にいる時点で安全だ。

ひとりのときは容赦なく嫌がらせを受けるけど、そうじゃないとピタリと止まる。



「先輩のほうが危ないですよ」



< 20 / 242 >

この作品をシェア

pagetop