とある先輩の、歪んだ狂愛。
それなのに先輩と関われば関わる分だけ逆効果。
ほんと、変な人に目を付けられてしまった。
「泣く?」
そんなのしたら、この男の思う壺。
「あれ?泣かない?…おぉ睨む?」
「先輩みたいなひと、大嫌いです」
「…いいね、そういうの好きだよ」
歪んでる。
このひと、普通に危ない人だ。
どうしてあんなにも女子生徒が騒ぐのかも分からないし、ただ見た目が良いだけ。
こんなのただそれだけでしょ。
「いつもどんなことされてんの?」
「…別に教える必要ないんで」
「強気だねぇ。いつまでそんなふうにしてられるかな」
気づけば壁に追いやられていて。
非常階段、両手で囲うように逃げ場ナシ。
「なんですか」
「いま結構あぶない状況なの知ってる?」
あぶない…?
わたしから言わせてみれば、誰かと一緒にいる時点で安全だ。
ひとりのときは容赦なく嫌がらせを受けるけど、そうじゃないとピタリと止まる。
「先輩のほうが危ないですよ」