とある先輩の、歪んだ狂愛。
「大ちゃん」
「……お前にそう呼ばれる義理は無いんだが」
「まぁいいじゃん、大ちゃん」
放課後、ぞろぞろと下校し終わった生徒たちの隙を狙って、ジャージ姿の体育教師に声をかけた。
俺からこうして話すなんて初めて。
授業以外で関わったことがないために尚更。
「そういや高槻、お前2学期いっぱいで転校するんだってな」
「だから言っておこうと思って」
こーいうタイプって変な正義感で突っ走るところがあるだろうから。
だから体育会系って嫌いなんだよ。
脳筋ってヤツ?体育バカ?
なんでもいいけど、俺の幼なじみが廉みたいなタイプで本当によかったと思う、そこは。
「涼夏は大丈夫だから。あいつから言ってこない限り、余計な手は加えないで欲しいんだよね」
「…俺は教師だ。いじめられてる生徒を見て見ぬふりしろってことか?」
「そう。それでいい」
ほんと、だから教師って嫌いだ。
こーいうときは教師面するくせ、実際は頼んでなくても見て見ぬふり。
だからいつかの俺の大事な子は簡単に飛び降りちゃったんじゃん。