とある先輩の、歪んだ狂愛。
「…まぁそーいうことで。俺が居ないからって涼夏に手は出さないでね大ちゃん」
「……宇佐美先生だって言ってるだろ」
ため息を吐いて納得したように、宇佐美は「早く帰れ」と、手を宙に払った。
結局俺は今年卒業だし、離れる期間が約3ヶ月早まるか遅まるかの違い。
どちらにせよあいつは1人で立ち向かわなきゃならなくなる。
どうにも俺のイジメは、そーいうものだったらしい。
「過去に生きてる…か、」
確かに言われた通りかも。
俺はきっと、過去に生きてる。
それはこの先もずっとずっとそうなんだと。
そしてそれでいいって納得もしてたはずなのに。
「…やば、すっごい心臓痛い、」
あいつと離れるんだと思うと。
ここで、涼夏はたった1人で立ち向かって。
ゴミ捨て場前でたったひとり、毎日毎日お弁当を食べてるんだと思うと。
どうにも胸が痛くて苦しくて、あいつに会いたくて抱き締めたくてたまらなくなる。
これは「可哀想だから」なんてくだらない同情心なんかじゃなくて。
「……ごめん、彩」