とある先輩の、歪んだ狂愛。
「…それで、彩のことを背負うのは…もう最後にしたい」
思い出にしたいんだ俺。
過去の思い出に。
そんなこともあったねって、微笑んでる未来にしたい。
「ねぇ、許される?俺…幸せになってもいい?」
何度も何度も考えた。
もし俺が彩のことを救えていたら、今も2人で笑ってた未来は確実にあって。
だからこそ俺は彩の未来すら潰したってこと。
ずっとずっと背負わなきゃいけないって、背負うつもりで4年間生きてた。
「───…高槻、くん?…高槻くん…よね…?」
いつものようにさりげなくスイートピーを飾って墓場を後にしようと立ち上がった俺に、背中から中年程の女性の声。
すぐに振り向こうか迷ったが、どうにも全身が硬直してしまって。
ゆっくりゆっくりと振り返る。
「覚えているかな。彩の母です」
「……はい」
───…覚えてる。
あまり関わったことはなかったけど、葬式で顔を合わせた4年前。
彩に似てるなぁって思って、そこで崩れるように泣いてしまった過去。