とある先輩の、歪んだ狂愛。




周が本当に2度と南の前に現れないってんなら、いざとなったときは俺が助けてやることも可能っちゃ可能だ。



「先輩にも…ご卒業おめでとうございますって、伝えといてくれませんか」


「…動画、撮ってやるからそこで言えよ」


「……え。」



俺からのメールなら確実に見るだろうし。

それにその内容なら、100%返信だって来るはずだ。

なにを言われるかも想像できる。



「ほらよ、話せ」



ピッと画面の中に後輩を映す。


もじもじと下を向いては横へ逸らして、これじゃあまともに顔が見れないだろ…。

しかし意を決したようにまっすぐレンズへと合わせてきた。



「…せ、先輩、…わたしは元気にやってます」


「顔固い、もっと笑え。この先で周が見てる」



余計ぶすっとした顔になった。

唇を尖らせて、どうやら逆効果だったらしい。



「先輩は元気ですか、いま、どこにいますか。コンビニ……また来てもいいんで、
あのガムは先輩しか買いません。…だからぜんぜん売れなくて、」


「長い。メモリ食うだろ」


「ご、ご卒業…おめでとうございます」



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