とある先輩の、歪んだ狂愛。




ピッと動画に納めて、すぐに送りつけた。

それから10分もしないうち。


南と別れ、校舎を出た俺のスマホが震えた。



「───…ふっ、ほらな」



“涼夏に手出したら廉だとしても殴るからね。それとその動画はすぐに消して“


しばらく返信しないでいると、とうとう着信がかかってきた。



『なにあれ。廉が動画とか驚きなんだけど』


「いらねぇなら消しとけ」


『いや要るよ。即効保存だよあんなの』



桜の花びらがヒラヒラと木から降ってくる。

放送室から流れる卒業ソングが微かなBGMとなって流れる今日。



『もしかして今も2人で帰ってるとかじゃないよね?』


「んなわけ」


『は?涼夏を1人で帰したってこと?それ危ないでしょ」



どっちなんだよ。

だいたい過保護すぎんだよ。



「俺はもう学校では手助け出来ねぇからな。あとはあいつ次第」


『…大丈夫だよ、涼夏なら』


「あいつ、前に告られてた」


『……は?まじ?』



なんて嘘をひとつ。


周、お前もう答え決まってんだろ。

俺を通してとかまじ面倒だから、さっさと直接言えっつーんだよ。








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