とある先輩の、歪んだ狂愛。
小さい頃からある、頬に付いたそばかす。
母親はそれを「あなたの個性なの」なんて言ってるけど。
こんなの個性なんかじゃない。
そして何より「個性」という言葉は褒め言葉なんかじゃない。
「学校来んなよそばかす女!」
「うわっ、触るとそばかすが移る!」
中等部から高等部へ上がったとしても、「いじめ」と呼ばれる嫌がらせは終わらなかった。
いっそのこと知らない土地に転校してしまえたらラクなのに…。
でも結局は同じことの繰り返しが待ってるだけだ。
「…もう…死にたい…、」
自殺も自傷行為も出来ないくせして、言葉はポンポン飛び出す。
誰にも見つからない場所へ逃げて隠れて1日が終わるのを待って。
学校を辞めるわけにはいかない、先生に言っても助けてくれない。
そんな生活が嫌になって逃げてしまいたくて。
「───君、イジメられてるんだって?」
そんな私の元に、涼しい風がふわっと靡いた。