とある先輩の、歪んだ狂愛。
その人は同じ制服を着ていて。
凛とした声で低くもなくて、女子生徒なんだってすぐに分かるのに。
サラッと揺れた黒い髪は中性的なショートヘア。
第一印象───男の子みたい。
「悪いけどそこはわたしの特等席」
「…2年生の方、ですか…?」
「可哀想ないじめられ常習犯が1年に居るって聞いて」
質問の答えが返ってこない…。
上履きの色は黄色、やっぱり2年生の先輩だ。
「君だよね?そばかす女っていじめられてるの」
覗き込んで来ようとするから、サッと髪で顔を隠すように俯く。
どうせこの人も冷やかしに来たに違いない。
高校に入ると先輩からもいじめの対象にされるの…?
そんなの嫌だ。
「見ないでください…あなたも私をからかうんですか…っ」
「まったくその通り」
「私に関わると先輩もいじめられます…っ」
「…くだらないこと、言うんだね」
その先輩は、そう言うと隣にポスッと腰を下ろした。
そして手に持っていた赤いチェック柄を広げてパカッと開く。