とある先輩の、歪んだ狂愛。




その人は同じ制服を着ていて。

凛とした声で低くもなくて、女子生徒なんだってすぐに分かるのに。


サラッと揺れた黒い髪は中性的なショートヘア。


第一印象───男の子みたい。



「悪いけどそこはわたしの特等席」


「…2年生の方、ですか…?」


「可哀想ないじめられ常習犯が1年に居るって聞いて」



質問の答えが返ってこない…。

上履きの色は黄色、やっぱり2年生の先輩だ。



「君だよね?そばかす女っていじめられてるの」



覗き込んで来ようとするから、サッと髪で顔を隠すように俯く。


どうせこの人も冷やかしに来たに違いない。

高校に入ると先輩からもいじめの対象にされるの…?

そんなの嫌だ。



「見ないでください…あなたも私をからかうんですか…っ」


「まったくその通り」


「私に関わると先輩もいじめられます…っ」


「…くだらないこと、言うんだね」



その先輩は、そう言うと隣にポスッと腰を下ろした。

そして手に持っていた赤いチェック柄を広げてパカッと開く。



< 233 / 242 >

この作品をシェア

pagetop