とある先輩の、歪んだ狂愛。




「ここでよかった…」



1年前にできた向かい側のコンビニは揚げ物が美味しいと評判で、ここは相変わらず面白味もないところ。

だとしても、わたしにはそれが逆にいい。



「…お祭り…もう1年前なんだ…」



忘れたことなんか無かった。


今もたまに思い出す。

自然と忘れていくんじゃないかなんて不安だったけど、ある1人の後輩と関わるようになって。

わたしは毎日のように先輩を思い出してしまう。


でもそれは彼がかつての恋人と重ねてたようなものとはまた違うから。



「涼夏ちゃーん!おーい涼夏ちゃーん」


「はーい」


「ちょっとお客さんがお呼びだよー」



コンビニに指名なんてないはず。

それに蛍光灯頼んだのは佐々木さんなのに接客までさせられるなんて、あなたは何をしているの。


わざわざわたしを呼ぶお客さんってことはクレームか何か…?

無愛想だとか言われたら、「元からなんで」って返そう。



「じゃあ佐々木さん、蛍光灯お願いしてもいいですか?」


「はいよー」



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