とある先輩の、歪んだ狂愛。
「…歪むねぇ、すっごい歪む、」
「…は…い…、」
よく見えないのに、その歪みは嫌いじゃない。
決して嫌なものでもなくて。
「…お祭り、一緒に行こう。終わるまで近くのファミレスで待ってるから」
あと1時間はあるけど、花火には間に合いそうだ。
いっぱいいっぱい話したいことがある。
この顔じゃバイトにすらならないけど…。
「もう極秘スポットなんか行かないで、涼夏と屋台回りたいんだ俺」
「…人混み、嫌いです」
「うん、知ってる。なら新しい場所、ふたりで探そう」
でも少しくらいなら屋台を回ってもいいかもしれない。
そこで2人でラムネを買って飲んだりしたい。
「もしかしたら早く上がれるかもしれないんで…待ってて、ください」
「うん」
その人はわたしだけをまっすぐに見てくれていた。
そんなものにどこか慣れなくて、恥ずかしくて。
そんなわたしにスッと手が伸びてくる。
「───…やっぱりショート、可愛い」
優しく撫でて、笑った先輩。
相変わらず歪んで狂っているのに、そこに新しく追加されたものがあった。
「会いたかった。───涼夏、」
「…わ、たしも…です……っ」
それはもしかして───…愛…?
なんて。