とある先輩の、歪んだ狂愛。
だんだん物理的ないじめに変わって。
もちろん「やめて」って言わないわけがない。
だからそんなので聞いてくれる人が相手なら、今頃わたしは毎日平和に生きてる。
「なに被害者面してんの?」
その声はどこか低くて。
聞いたことない声だったから。
「虐められてるお前だって立派な加害者」
「……意味がわかりません」
「だろうね。だってただ食らってるだけだし」
だから意味が、わからない。
ただ単に被害者と加害者の意味が分かっていないわけでもないはずで。
「だからこそ、」と、先輩は小さく続けた。
「そうやって何もしないでただ受けてるだけ。自分の心と身体、十分いじめてんじゃん」
いじめっ子な先輩に言われたくない。
あなたに何が分かるのって、声を大にして言ってあげたい。
それなのに何ひとつ言葉が返せないから。
「…なら、どうしろって言うんですか」
「守れ。」
「…簡単に言いますけど、」
「結局自分を守ってあげられるのなんか自分しか居ないんだよ。
他人にどうにかしてもらおうなんて、おこがましいね」