とある先輩の、歪んだ狂愛。
学校でもカースト頂点に君臨するひと、それをお母さんは知らないから簡単にお弁当なんか作ってるけど。
わたし、本当は学校で最下層よりもっと下に所属してるんだよ。
いじめられてるの、みんなから。
それを言えないわたしも弱虫で。
「…これ、どうしよう」
先輩、忙しいみたいで…なんて言って余らせるわけにもいかない。
だったらわたしが後で完食して先輩が食べたことに…するわけにもいかない。
とりあえず今は教室に戻ろう。
「アマネ先輩、名前で呼んでたんだって」
「嘘でしょ?あり得ないんだけど」
「それに前、他クラスの子が2人で歩いてるとこ見たって」
ジロジロ、ヒソヒソ、ざわざわ。
もちろんそんな音は聞こえないふり。
ロッカーに隠すようにお弁当箱を突っ込んで、平然と自分の席へ座る。
5限は…現代社会か。
眠くなる、すっごく眠くなるヤツだ。
「きりーつ、礼」
今日の日直はわたし。
そしてそんな号令に、返事は皆無。