とある先輩の、歪んだ狂愛。
生徒たちはぞろぞろとグラウンドでお弁当を広げる者、校内へと入って行く者、様々。
そんな中で俺はとりあえず1人の存在はどこかと探す。
「あ、見っけ」
相変わらず気配を消すように、そそくさと校舎裏へと向かってゆく背中を発見。
その手には見慣れたチェック柄の小さなバッグ。
いつもは長く伸びたストレートを下ろしている髪の毛も、今日は低い位置で分けるように2つにまとめられていて。
だからこそいつも以上に見つけやすい。
「───周。」
向かおうとした俺を引き留めたのは、幼なじみの声。
どちらを優先しようか迷った挙げ句、どうせ廉は長話はしない男。
とりあえず近いほう優先でいいかと振り返る。
「なに?」
「話、あんだけど」
「俺いま忙しい。すぐ終わる?」
「お前の反応次第だな」
なにそれ面倒。
廉にしては随分とあやふやな返答だ。
そーいうの、お前がいちばん嫌うくせに。
昔っから白黒ハッキリさせたいタイプで、「0か100」みたいな極端なヤツだってのに。