とある先輩の、歪んだ狂愛。
「それで?話って?」
嫌な予感は的中。
グラウンドに生徒は散らばっているから、体育館には今は誰もいない。
とりあえずステージに座って足をぷらぷらぶら下げながら廉の言葉を待つ。
「どういうつもりだよ、お前」
「なにが?」
「南 涼夏。どうも、この学校でのいじめられっ子らしいけど」
薄々そうなんじゃないかって予想はしてた。
なんかこいつ、さいきん俺をどこか探るように見てきてたし。
「───立花のこと、まだ責任感じてんのかよ」
さすがにその名前は2度と他者から出されて欲しくなかった。
誰かに言われると自分が思い出すときよりも数倍に心が痛む。
ぜんぶを思い出す。
そんなものがとてつもなく怖くて、許されないような気がして。
「重ねてんだろ、お前。変に手出さねぇほうがいいんじゃねぇの。ああいうのには」
「…なに言ってんの?俺はイジメてるだけだよ」
「は?」
今日、夢見たんだよ俺。
そこに出てきたんだ。
だからこそ思い出したくなかったってのに、幼なじみってのは本当に厄介だ。