とある先輩の、歪んだ狂愛。




「いじめてる?助けようとしてるの間違いだろ」


「まさか。そんな面倒なことするわけないじゃん」


「…そうは見えなかったけどな」



そう見えない廉もおかしいけど、俺だっておかしい。


イジメてるつもりだった。
そうするつもりだった。

どこまで耐えられるかなって、そんな高見の見物をするような気持ちで。


最初は本当にそのつもりだったのに「なにしてるんだ俺」って、最近ふと思うことが増えた。



「重ならないでしょ、…彩には」


「…ならいい。引き留めて悪かった」



そのまま廉は体育館から出て行った。


重ならない。
重ねること自体がまちがってる。


だって彩はもうこの世に居ない。

彼女はいじめに耐えられなくなってイコールで死に繋げた。

だけどもう1人の後輩は、死にたくないと俺に言い切った。



「…ぜんぜん違うでしょ、そんなの」



そう、ちがう。

同じじゃない。

ただ置かれている立場や境遇が似ていただけ。


そう思いたいってのに。



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