とある先輩の、歪んだ狂愛。




「先輩、リレーすごかったです」


『あまねくん、体力テスト上位って聞きました。すごいです』


「先輩、どうかしたんですか」


『あまねくん?なにかあったんですか?』



ちがう、今日は髪型まで少し似ていたからダブるだけで。

てかなんでその髪型にするんだよ。
ポニーテールとかもあったでしょ。



「…うまそ。今日はまた張り切ってるね、お母さん」



色とりどりのおかず、国旗が立つミートボール。

おにぎりなんかは野球ボールやサッカーボールにデコレーションされていて。


あの賑やかなお母さんの顔が今にも浮かぶほど。



「朝はやくから作ってました。…先輩はお弁当ですか?」


「…俺は、買った。けど教室に置いてきちゃったや」


「なら、…これ、よかったら」



背中からもうひとつ差し出されたお弁当箱。


それはあの日、放課後ふたりで練習したときと同じもの。

パカッと開けてみれば、中身はあのときよりもまた豪華にグレードアップされていて。



「…またお礼言わなきゃじゃん」



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