とある先輩の、歪んだ狂愛。
だけど、ありがたく受け取る。
本当はそうなんじゃないかって、こうして差し出されるんじゃないかって。
だから本当は最初からお昼なんか買ってない。
「お母さんが好きでやってるだけなんで、気はつかわないでください」
「じゃあまたお邪魔していい?すき焼き、俺ちょっといい肉買ってくよ」
「…え、すごく喜ぶと思います」
だから涼夏の笑った顔もまた見せてね、とは心に留めておく。
お下げ髪が目に入る度にちらつく記憶。
こうして人目のない場所を盗んで2人で会って、お昼休みを過ごすのも一緒。
滅多に笑わなくて会話もあまり続かない女の子が隣にいるけど、そこまで俺も気をつかっていないのも一緒。
だめだ、ダブるものしか目に入らない。
「リレー、どう?いけそう?」
「いまのところは。バトンパスはぶつけ本番だから…そこだけ心配ですけど、」
「トイレットペーパー思い出して。それで頑張って」
「…はい」
あの日、少しからかっていじわるしたのに次の日はケロッとしていた。