とある先輩の、歪んだ狂愛。
だから今、こうしてやることが出来て逆に良かった。
ぐるぐる考えなくて済む。
「……あった」
そこは、プール。
ちょうど真ん中にぷかぷか浮いている2つの靴を発見。
普通なら今の時期はもう水が引けて簡単に回収できるはずだが、そこは旧プールだった。
今年から新しいプールができて、ここは使われていないほう。
「やるしかない、か」
靴なんか貸してくれる友達だっていないわたしは。
ザブザブと、濁った緑色のヌメヌメした水の中へ遠慮なく入っていく。
葉っぱや埃が溶けてヘドロのようになった水。
臭い、汚い、気持ち悪い。
またそんな言葉を全校生徒から浴びせられるに違いない。
「やだ、くっさ」
「近寄らないで、匂い移るでしょ」
「私あんなのにバトン渡したくないんだけど!」
テントに向かったわたしへ、案の定といったところ。
この姿でリレーを走るB組代表アンカーの悲惨な姿に、チームメイトは舌打ちやら諦めのため息やら。
「最悪。アマネ先輩が見てるって…のに!!」
「ぅ…っ…!」