とある先輩の、歪んだ狂愛。




「そうなったらだめ?」


「だめです」


「なんでだめ?」



今日は先輩がたくさん質問してくる日だ。

ぜんぶ答えるのだって面倒なのに…。

それに話すなら、もっといつもの先輩らしい話にしてほしい。



「わたしのせいで先輩がいじめられます。
…そんなの…わたしが逆に嫌です」


「…だから俺に頼らなかったの?」


「え…?」



頼る……?

だから、って…?


話がどこか噛み合っていないような気もする。


今までわたしが先輩を頼ったこともなければ、例えば先輩が「俺を頼って」って。

そんなことすら言われたこともない。



「俺ってそんなに頼りない?逆にお前をいつも苦しめてた?」


「ち、違います。そんなことはないですけど…」


「じゃあなんで?」



なんの、話を、しているの…?

だれの、話を…しているの…?


わたしの咄嗟に答えた返事に、先輩は食いぎみにその先の返答を待っている。



「俺が守ってあげるって、言ったじゃん…」



そんなこと、言われてない。

それを言われたのはわたしじゃない。



< 99 / 242 >

この作品をシェア

pagetop