美しき花は罪
フランソワーズに愛とカクテルを
フレイス王国には、密かに女性たちから「花」と呼ばれる美しい青年がいる。華やかな街並み、繊細な料理、ファッションの最先端を歩く国に相応しい容姿の青年だ。

絹のような美しい金髪に、空を思わせる薄い水色の瞳、雪のように白い肌をし、人形のように整った顔立ちの青年ーーーラファエル・カッセルは、頬を緩ませながら身支度を整えていた。白いリボンタイを結び、上品なデザインのブランド物のジャケットを羽織る。鏡の中に映る自分におかしなところがないか念入りに確認し、ラファエルはブランド物のバッグを手に自宅である豪邸から出た。

今は夕方。夕焼けがこの華やかな街を染めている。その様子を見ていると、ラファエルの胸はまるで劇を見ているかのようにわくわくしてくる。

「子どもだと楽しめない大人の時間が始まるからね……」

女性たちの熱い視線を集めながら、ラファエルは道を歩く。たまに手を振ってあげたり、投げキッスをしたりすると、女性たちは黄色い悲鳴を上げ、中には興奮のあまり失神してしまう人も出るほどだった。この街でラファエルは道ゆく女性を虜にしている。


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