美しき花は罪
アリエルは貧しい暮らしの中で、童話に登場するお姫様に憧れてを抱いていた。美しいドレスを着て、おいしいスイーツを食べ、広々としていて豪華なお城に住んでいるお姫様は、彼女にとって理想の人生を送っている人だ。

そんな彼女にとって、豪邸に住み、美しいドレスを買ってくれて、おいしいスイーツをごちそうしてくれるラファエルは、王子のような存在らしい。たまにふざけて「王子様」と呼んでくるのだが、彼女の可愛らしい一面の一つだ。

「う〜ん……」

メニュー表を見始めて数分、アリエルは未だにどのスイーツを食べるか迷っているようだ。普通の男ならば、「早く決めろ」と苛立ちを感じるだろう。しかし、ラファエルはニコニコとしたまま優しい口調で訊ねる。

「アリエル、どれにするか迷っているの?」

「うん。このフルーツたっぷりのロールケーキか木苺レアチーズケーキにするか迷っているの。どっちもおいしそうだから……」

アリエルが見せてくれたメニュー表のスイーツの写真は、テーブルが一気に華やかになるような可愛らしくておいしそうなスイーツばかりだ。アリエルが悩むのもわかる。
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