美しき花は罪
エレーヌの涙は甘い
今日も朝から夕方まで女性とデートをし、ラファエルは上機嫌で豪邸へと帰るために道を歩いていた。

「明日は誰とデートしようかな……」

そんなことを呟き、明日のことを考えて胸を高鳴らせる。その時、裏路地から誰かが飛び出してきた。突然のことにラファエルとその相手はぶつかってしまう。

ラファエルはよろけただけで転ばずに済んだが、相手はシンプルな青いドレスを着た女性だった。女性にしては背が高い。

「失礼しました。立てますか？」

ラファエルはすぐに手を差し伸べる。ぶつかった女性は、「ごめんなさい！」と掠れた声で言いながら顔を上げた。その刹那、ラファエルの胸が高鳴る。恋に落ちた瞬間だ。

女性は栗色のベリーショートの髪型をしており、青い瞳をしていた。しかし、目の周りは赤く腫れ上がっており、顔には泣いた痕がある。でもその女性は美しい顔立ちだ。

「……何かあったんですか？」

ラファエルは女性と目線を合わせるために地面にしゃがむ。女性は「いえ、何も……」と俯くが、その声は震えていた。
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