お前が好きだ
あれから、椿原君たちとは、よく話すようになった。

「楓彩も俺のこと名前で呼んでよ」

これが最近の椿原君の口癖だった。

本心では呼びたいんだけど、クラスメイトとか、椿原君たちの自称取り巻きに人達からの視線が最近痛いんだよね。
なにもされないんだけど、視線が気になりすぎて気が気じゃない。
たぶんももにもばれてる。

「ももごめん今日もお昼一緒に食べられないや」
最近はお昼ご飯をももたちと食べないようにしてたりする。

最近は空き教室で一人きりで食べるのが定番になってきた。
誰も来ないから息がしやすい。
その時にももからLIMEがきた

【ごめん2人にばれた】
2人にばれた…?
【尋くんがそっちにむかったっぽい】
こっちに来る?

ガラガラっ

「いた」

わたしは思わず立ち上がって逃げようしたんだけど
「楓彩!」
名前を呼ばれて思わず止まってしまった。

椿原君は私の前にきて抱きしめた。

「ちょ、椿原君!?」
いきなり抱きしめられて私は離れようとした。
でも椿原君は腕の拘束を強めるだけだった。

椿原君を落ち着かせるために背中をさすった。

「ごめんね。もう逃げないから」

椿原君は私を離した。

「ごめん。ももから全部聞いた。
俺のせいだよな。気が付かなくてごめん。」
「椿原君は何もしてないんだし、謝ることじゃないでしょ?だから謝らなくていいよ」
「でも…」
椿原君は自分のせいだと思ってるみたいだった。

「ほんとはね君尋君って呼びたかったのでも、周りの目が気になって言えなかったの。
だから椿原君はわるくないよ。私が弱かっただけ。ごめんね?」

「君尋君昼休みが終わるからみんなのところ戻ろ?」

「今、名前…」

「うん。私もやっぱり呼びたいし、私の名前も呼んでほしいからダメ?」
素直な気持ちを君尋君にぶつけた。

「ダメなわけないじゃんでも本当にいいの?無理してない?」
「してないよ。本心だもん」

本心を伝えたらまた君尋君に抱きしめられた。

「ありがとうめっちゃうれしい」
「遅くなってごめんね」


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