ハツコイ
『いただきます。』


切り分けられたケーキをじっくり眺めた後
ゆっくりと口に運ぶ彼をドキドキしつつ見守る。

「んッ!美味しい…あんまり甘くない」
『甘すぎるのは苦手って前に言ってたでしょ』
「さすが妃里さん…美味しいよ」


2口目も食べるのかと思えば、
それは私の口元にあり…


「あーん」


"ほら早く"とせっつく様に触れるガトーショコラ。
口を開き受け入れたと同時に重なる唇。

溶けていくビターなガトーショコラと
与えられる甘美に少しの間私たちは酔いしれた。


「ハッピーバレンタイン、妃里さん」
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