ハツコイ
「ふふっただいま、妃里さん」
『おかえり。お水飲む?』
「うん、」


冷蔵庫に水を取りに来た私の後ろをついて歩き、
ひたすら楽しそうに笑っている。

彼は酔うと楽しくなるタイプらしく
"ふふっ"と洩れる声が堪らなく可愛らしい。


「妃里さーん」


後ろから回される腕に囚われ首筋に
押し付けられる唇。

何度か音を鳴らせては楽しげに笑い、
サワサワと動きまわる腕を捕まえ脱出した。


「だぁめ、妃里さん行かないで」


彼はわかってる。

私が逃げない事を…

首筋を這い後頭部に回された手が
グッと私達の距離を縮めゼロにした。
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