私に恋を教えてください
混沌を見たことがあるか
「柚葉の恥じらう姿はとてもいいね」
布団の中で駆琉はつるりとした柚葉の肩に口付けをしてそう言う。

「い、今はそうかもしれませんけど、そのうち分かりませんよ」
人生で3回目を致した柚葉が、頑張って駆琉にそう反論する。
(そうやって、私を歳下扱いばかりして……)
けれど、そんな様子さえ駆琉には可愛いばかりだ。

「柚葉が俺を襲ってくれるの? へえ、それは楽しみだな」
「駆琉さんが余裕過ぎます……」
柚葉が上目遣いで駆琉を軽く睨む。

駆琉は苦笑した。
「余裕なんてないよ。今も」
そう言って、服をまとっていない柚葉の身体を後ろから抱きしめる。

「このまま離したくない。……ねえ、柚葉?」
「はい……」

自分の身体の前で交差している駆琉の腕に柚葉はそっと触れた。
「恋をしている?」
「……はい」
恋なら、とっくにしている。

──もしかしたら、最初にエレベーターで会った時から。

駆琉は仕事ではきりっとしていて人を寄せ付けなかったり、厳しい判断をすることもあるのに、柚葉をきちんと見ていて、守ってくれたり理解してくれたりする。
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