私に恋を教えてください
そして一緒にいる時は、柚葉にだけは蕩けるように甘くて優しい人。
慣れない柚葉の手を取って、一緒に連れて行ってくれる人だ。

「答えを焦るつもりはないんだけれど、俺、柚葉だけは本当にとても大事にしたいし、今まで君みたいな人はいなかった。以前に引き返さないと言ったの覚えている?」
「ええ」

背中に感じる駆琉の体温は温かく、後ろから包み込まれるように抱きしめられるのは、とても安心する。さらりとした柔らかい駆琉の声が、柚葉の耳をくすぐっていた。

「柚葉、今後のお付き合いは、結婚を前提に付き合ってくれないかな」
「え?」

振り返ろうとした柚葉を止めて、駆琉はきゅうっと改めて抱き締めた。

「答えは今じゃなくていいよ。けど俺がそういうことを念頭に置いて、君とお付き合いしているって知っておいてほしい」

駆琉はいつも決して柚葉を(あせ)らせることはしない。
それを柚葉も分かってきたから。

胸の前でクロスされている駆琉の腕を今度はきゅっと抱きしめる。
この腕の中を離れるなんて、もう考えられない。
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