私に恋を教えてください
「モテすぎて、女性不信に近かったからなあ。近付いてくる女性は目的があるんじゃないかと疑ってしまって」

それに、と貴広は言葉を足した。
「運命の女性にいつ出会えるか分からないんだ」
「それっておじい様のお話しですよね⁉︎」

「だけど須藤くんを見ていると、自分と重なるところがあるんだよなぁ」
若い頃はイケてた話だ。

──今はそんな事を言っている場合じゃないでしょう!!

「ちゃーちゃん! 重なるかは分かりませんけど、ちゃーちゃんは今もイケています!」
柚葉が笑顔で主張する。
「ホントー? ゆーちゃんがそう言ってくれると嬉しいなあ」
ゆーちゃん、それも違う!

「さくらちゃんが柚葉の歳には、もう僕と結婚していたからね」
全員分のお茶を入れて持ってきたさくらに、悠真が微笑みかける。

もー、やだ! この家族‼︎ そしてお前が気の毒そうな顔をするな!

「何で俺が諦めなきゃなんないんですよ⁉︎」
「え? だって結局は柚葉が決めることだろう?」
キョトンとする悠真だ。

「あと、須藤くんはなかなか手強い。真面目でバカ正直も彼ほどまで行けば無敵だよ」
そして表情を変えずに答える貴広。

「俺……俺は自分の目で見ます」
そう言って、透悟はその場を離れる。

「透悟は本当にお姉ちゃんっ子だからなあ……。柚葉を取られたような気がしてしまうんだろうね。須藤くん悪いな。透悟も悪気はないと思うんだが」

「いいえ?」
須藤は、透悟が出て行った方をじっと見ていた。
< 191 / 277 >

この作品をシェア

pagetop