私に恋を教えてください
柚葉には、今の自分の気持ちを正直に伝えることしかできない。

柚葉にとって駆琉はとても大事な人なんだと、伝えることしか出来なかった。
それを見て莉子が微笑んだ。

ふわりと手を伸ばした莉子が、柚葉をそうっとハグした。
莉子からは、甘くていい匂いがする。そして、きゅっとされて頭を撫でられると、とても嬉しい。

「とても、いい子ね。駆琉が夢中になるのも分かるわ。お似合いよ。ごめんね。背景を探って拒絶しようと思ったわけじゃないのよ。ねえ柚葉ちゃん、私が石を持ってきたのは祝福したかったからよ。飛行機を直ぐにチャーターしたのも、あなたに会いたかったからなのよ」

「莉子さん」
「ふふ……あなたみたいに可愛い妹が出来るなんて本当に嬉しいわ。幸せになりなさい」

駆琉のことも大好きだけれど、この人のことも、とても好きだと柚葉は思った。



「クリス、あなた仕事は終わったの?」
その日の夜、みんなで食事をしていると莉子が言う。

「あー、うん。いちお。侑也のところとは午前中に終わったし、新規の先は午後行った」

「私も明日、帰るのよ。一緒に帰りましょう。帰りはシスコの空港まで送るわ」
まるでタクシーのような物言いである。
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