私に恋を教えてください
まずこの会社には、秘書室がない。
菜都が撤廃して立ち上げたのが、マネジメント事業部という部署である。

これは社内はもちろん、社外のマネジメントも請負うことで、部門としての業績もそれなりにあげていた。

いくつかの事項については、このフランクな形の取締役会を経て、CEOである、東条優(とうじょうすぐる)に上げられるのだ。
基本的に、瑛や律達を信用している優はここでの判断にNOという事はない。

「……で、一個だけ議題に加えて欲しいんだけど、採用の件で」
瑛はそう言って、履歴書のコピーをその場の役員たちに配る。

役員たちは、その配られた履歴書を見た。
別に何の変哲もない、極々普通の履歴書だ。

「これがなにか?」
「マネジメント事業部に配属したい。できれば、2課で」

マネジメント事業部は、もともとは秘書室が撤廃されたものなので、社内の秘書室の代わりとなっているのが1課。

外部のマネジメントの受注を受けて外部と関わりを持つのが2課になる。
しかし正直なところ、1課は社内の役員の調整が主になるのに対して、2課は外部の役員等との接触もある。
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